戸建てリノベのメリットと注意点|中古住宅購入リノベのポイントも解説
2022.01.12 15:36comment(0)
最近は住宅のニーズが多様化し、中古住宅を購入して自分好みにリノベーションを行う人も増えています。
戸建住宅のリノベーションの大きなメリットは、住宅購入コストの削減です。
必要な部分だけを工事することが可能で、工期が短期間で済むといったメリットもあります。
住まいの探し方のひとつとして、「中古住宅を購入しリノベーションする」という選択肢はいかがでしょう?
今回は、新しい暮らし型のひとつである中古住宅の戸建てリノベのメリットと注意点についてご紹介します。
目次 [閉じる]
リフォームとリノベーションの違い
最近よく聞くようになったリノベーションですが、リフォームとの違いはなんでしょうか。
ここでは混同しやすいリフォームとリノベーションの違いについてご紹介します。
リノベーションとは?
「リノベーション」とは、古い建物を活かしつつ大きく手を加えることで、住まいの性能を新築時より向上させたり価値を高めたりすることをいいます。
例えば、子どもの成長とともに間取りを変更して個室を新たに設ける、高齢化に伴い2階を撤去して平屋にする、寒さを軽減するために高性能な断熱材で住まいをすっぽり被うなどがこれに当たります。
最近話題の「スケルトンリフォーム」は、リノベーションの手法のひとつと考えられています。
リノベーションの多くは、骨組みだけを残して床や壁、天井などをすべて取り払い、間取りから作り直す大規模なフルリフォームです。
通常のリフォームでは難しい排水管に手を加える水回りの移動や変更も可能になります。
リフォームとは?
「リフォーム」は、建物を修繕し、新築時の機能を取り戻すことを言います。古くなったキッチンや洗面化粧台を新しい物に交換するなど、長年の使用で痛んだ壁紙や外装の修繕などがこれに当たります。フルリフォームは建物全体をリフォームする場合に使い、費用も高額になります。
リフォームとリノベーションの違い
一般に「リフォーム」は、単純に汚れたり傷んだりした部分の交換や修繕をして元の機能を取り戻すこと。
それに対して「リノベーション」は、工事を通して機能を向上させ新たな付加価値を作ることを指します。
スケルトンリフォームや全面リフォームなどの大がかりなリフォームはリノベーションに区分されることが多く、その区別は非常にあいまいです。
工事の規模や計画によって線引きが難しく、業者によって区分が違う場合があるので、自分の求める工事内容がどちらに当たるのか、実際に依頼する際には業者に確認しましょう。
この記事では、スケルトンリフォームや全面リフォームはリノベーションとして扱います。
建て替えではなくリフォームやリノベーションを選ぶメリット
建築コストを抑えられる
一番のメリットは、建築コストを抑えられる部分です。
今までの住まいの骨組みや設備、敷地を生かしつつ新しく生まれ変わるため同じ設備・仕様の場合は建築コストを抑えられます。
特に中古住宅やマンションでは、新築時よりも安く入手し、自分たちの好みに合わせてリフォームやリノベーションを行うパターンが増えてきました。
建築コスト以外にも、固定資産税なども低く抑えられるなどのメリットがあります。
必要な部分のみの改修が可能
住まいの中で必要な部分だけをキレイにし、生活スタイルに合わせて部屋を増やすなどの部分的な改修もできます。
特に部分的な改修で人気があるのは水回り。キッチンや洗面所、お風呂、トイレなどの水回りは、住まいの中でも特に痛みが激しく見た目が悪くなりやすい場所です。
水回りを新しくすると見た目が一新され、水漏れなどの生活に関わる不具合を解消できるメリットがあります。
他にも、老後に備えてバリアフリー化も人気です。
工期が短い
工事箇所を限定して改修することで、新築と比べて工期を短く抑えられます。
すべて1から作る新築では、工期は4カ月から半年程度はかかりますが、一部屋だけといった部分的な改修なら1カ月程度で終わります。
しかし、骨組みだけを残して行うスケルトンリフォームや、建物全体に関わるフルリフォーム、その他に住みながら数カ所を順に直すなどの工事では、工期が長期間に及ぶ場合もあります。
「リノベーション」と「建て替え」の建築費を比べてみよう
リノベーションと建て替えの建築費用を比較してみましょう。
下記の表を見比べると、リノベーション費用が安いことが分かります。
建て替えに必要な古屋の解体、地盤整備などの費用が不要で、建築費も若干抑えられています。
建築費については、骨組みだけを残すスケルトンリフォームまで行うと新築と変わらない費用がかかってしまいます。
リノベーション | 建て替え | |
---|---|---|
建物本体 | ― | 71.0 |
別途工事費 | ― | 14.2 |
リノベーション費用 | 69.0 | ― |
諸費用 | 10.3 | 4.3 |
坪単価 | 79.3 | 89.5 |
(単位:万円/坪)
※諸費用はリノベーションを10%、建て替えを5%として計算しています。
リノベーションの注意点|フルリフォームなら何でも叶うとは限らない
リノベーションなら間取りは自由自在?
残念ながら、リノベーションやフルリフォームで間取りを完全に自由に変更できるわけではありません。
建て替えと違い、元の住宅の骨組みを使用するため、ある程度間取りが制限されます。
在来工法では、柱を抜いたり梁を補強したりできますが限界があります。耐震壁や通し柱、その他重要な柱を変更することが難しいのです。
また2×4(ツーバイフォー)工法では、壁が建物の重さを支えていますので大きな間取り変更が難しくなります。
例えば、部屋をつなげて大きなLDKを確保したい場合、柱や壁を撤去するには専門家の調査と検討が必要です。
安全性や耐震性の問題から、リノベーションやフルリフォームで自由に間取りを変更することは難しいでしょう。
プロでも壊してみないと分からない
構造上の問題や隠れた劣化は表面からでは判別できず、壊して確認してみないと分かりません。そのため、工事費の5%程度の予備費を必ず確保しておきましょう。
古い住宅は、たとえ図面が残っていたとしても実際の状況とは異なる場合がありますし、図面が残っていない場合は過去の経験を元に判断するしかありません。
建物の劣化については表面から判別するのが難しく、土台や柱がシロアリの被害にあっていることはよくあります。
例えば、壊してみたら筋交いが入っていた、あるはずの基礎がない、柱が細いなどの構造上の問題。
シロアリの被害や腐朽菌による柱や土台の劣化、ハクビシンやコウモリなど動物による汚損被害。
これらは壊してみてからでないと判断するのが難しく、修復に余分な費用がかかることもあります。
水回りの移動は工事費がかかる
キッチンやトイレ、洗面化粧台などの水回りの移動は設備配管類の移動にも費用がかかります。
設備本体だけでなく、給排水配管や電気類も一緒に移動させる必要があります。配管が通るルートを確保しなければいけません。
特に排水は、水勾配と呼ばれる排水を流すための配管の傾斜が必要です。
たとえ1mほどの移動でも、配管を一緒に移動させ、基礎などの障害物があれば貫通させるか迂回させる必要があります。
これらの見えない部分の工事が多いので、水回りの移動には見た目よりもずっと費用がかかります。
住宅ローンは新築の方が比較的簡単に組める
金額のかかるリノベーションに住宅ローンを利用されたい方も多いでしょう。住宅ローンは新築住宅のほうが比較的簡単に組めます。
多くの場合、住宅ローンは土地を担保に借り入れを行いますが、リノベーションではすでに抵当権がついている、土地の利用に制限があり銀行評価額が低いなどの制限があるため、審査が厳しくなります。
新築住宅の場合は土地の利用の制限はかなり少なく、リノベーションやリフォームに比べて住宅ローンが組みやすくなるでしょう。
ただ、中古物件の場合は取得費用が安いのでローンの利用額は低く、その点は審査が通りやすいといえます。
一般的なリノベーション工事の流れ
リノベーションを思い立ってから完成するまで、リノベーション工事は大きく4ステップに分かれます。
この中で一番大切なのは、最初の「目的の明確化」です。ここをしっかり押さえておかないと、リノベーション後に使いにくい住まいになってしまいます。
それぞれのステップで行うべきことを確認しておきましょう。
リノベーション目的の明確化
最初に行うのが「リノベーション目的の明確化」です。ここが一番大切なので、予算を抜きにして家族みんなで話し合いリノベーションの優先順位をつけておきましょう。
リノベーションは多岐にわたり、水回りなどの部分的な改修から住まい全体の改修まで幅広く存在します。
まずは、家族の要望をリスト化します。参考にしたいイメージ写真があれば、スクラップして保存しておきましょう。とにかくたくさん意見を出すことが大切です。
例えばキッチンをリノベーションしたい場合、キッチンの活用方法やデザインの希望、今のキッチンに対する使い勝手の悪さなどの意見が出てくるでしょう。
こういった希望、要望、不満点などを挙げておき、あとから優先順位をつけて整理します。
専門家への相談
意見がおおよそまとまり、リノベーション目的に優先順位がついたら専門家へ相談します。
専門家への相談は、会社のホームページに掲載されている施工事例や口コミなどから探します。リノベーションは専門業者、近所の工務店、住宅設備会社などさまざまな依頼先があります。
「一度相談したら断れないのでは?」と思われるかもしれませんが、要望を伺い、見積りを作るまでは無料の会社がほとんど。
さまざまな会社に相談し、自分たちがリノベーションしたい部分をかなえてくれる会社と付き合いましょう。
会社ごとにリノベーション内容の得意とする部分、不得意な部分もありますし、担当者によるデザイン性の違いもありますので、自分に合う会社、担当者を選ぶことが大切です。
また、ほとんどのリノベーション施工会社では、独自の保証基準にもとづいて「保証書」を発行していますが、保証期間や保証内容がまちまちです。
保証がずさんな会社はあまりおすすめできません。相談の際には保証についても一緒に確認するようにしましょう。
物件の調査・プランの検討・設計
いくつか依頼先の候補が絞れたら、物件の調査とプランの検討をお願いします。
リノベーションの特徴として、プラン検討の前に物件の調査があります。リノベーションは既存の住宅を元に作り出すものですから、物件調査を行った結果を元に希望のプランを検討します。
プランの検討・設計は、家族で話し合った要望がきちんと反映されているか確認しましょう。
会社や担当者によって考え方が異なります。不満があればこの段階で意見や変更を申し出ましょう。
設備や仕上げ素材などは、ショールーム等で現物を確認しながら打ち合わせします。
契約・工事・引き渡し
希望のプランが出来上がり、金額も折り合いがついたら工事請負契約を行いリノベーション工事がスタートします。
工事中は工務店に任せきりにせず、住まいがどう変化していくのか、希望通りの作りになっているのか確認しましょう。工事中に不明点、疑問店があれば遠慮なく相談してください。
引き渡しでは施工業者の担当と一緒に完成現場で工事内容を確認する完了検査(竣工検査)を行います。
プラン・見積り通りに仕上がっているか確認し、不具合や相違する場所があれば必ず申し出ましょう。
問題なければ工事代金を支払い、引き渡しを行います。引き渡しの際は、お手入れ方法や設備などの取り扱い説明を受け使い方を把握しておきましょう。
引き渡し後、普段の生活の中で不具合が見つかれば契約時の保障内容を確認し、早めに担当者に連絡し対応をお願いします。
また、完成後の定期的なアフターメンテナンスを行っている業者であれば、その際にも不具合の対応をお願いできるでしょう。
中古住宅を購入してリノベーションするメリット
中古住宅を購入するメリットは2つあります。土地代+新築建築費用より入手金額が安い、立地条件の良い物件が手に入りやすいことです。
特に、利便性が良い立地で更地の空き地を探すのは一苦労。中古物件なら競争率の高いエリアでも比較的見つけやすくなります。
住宅に掛けるコストを抑えられる
土地を購入し、新築住宅を建てると3,000万円~5,000万円ほどの費用が必要です。中古住宅の場合、築年数に応じて建物の金額が下がり土地の金額だけで購入できることも。
住宅購入の費用を抑え浮いた費用をリノベーションにまわす、子どもの教育費に充てることも可能です。
立地条件の良い物件が手に入りやすい
利便性の高い人気エリアでは新築を建てる土地はなかなか見つかりません。
中古物件の場合、こうした人気エリアでも買い手がつかずに売りに出されている場合があり、タイミングが合えば理想の住まいを見つけれられるかもしれません。
リノベーション費用を抑えられる中古住宅の選び方
人気エリアで条件の良い中古住宅を見つけたら、住みやすいようリノベーションを検討してみましょう。複数の物件が選べるなら、リノベーション費用を抑えられる物件がおすすめです。
選び方のポイントは、ズバリ何年に建てられたか。特に「1981年」と「2001年」は大きな分かれ目で、この年に関連法案の大きな改定があり建物が地震に対して強くなっています。
築年数は「1981年」と「2000年」がターニングポイント
災害が多い日本の中で、特に心配されるのが地震。内閣府の調査によれば、世界中で起こる地震のおよそ2割が日本に集中している状況にあります。
希望している中古住宅がどれだけ地震に強いか、それが簡単に分かるのが築年数を調べることです。
特に耐震基準の甘かった1981年以前に建てられた住まいであれば耐震補強工事が必須です。
1981年以前に建てられた住宅は、旧耐震基準と呼ばれ、今よりもずっと低い基準で建てられていました。
今の住宅よりも地震に弱いため耐震性のチェックと耐震補強工事が必要です。リノベーションでは耐震補強工事分の費用がかかります。
2000年以降に建てられた住宅は現在の住宅と同じ基準で建てられています。この年代ならば比較的地震に強く、構造部分の補強費用を抑えることができます。
リノベーション費用を抑えるためにも、築年数の確認をしておきましょう。
間取りをそのまま生かすことで費用を抑える
間取りを変えるには多額の費用がかかります。リノベーションの費用を抑えるポイントとして、間取りの変更や水回りの位置をそのままにしておきます。
一方、床材や壁紙、設備のグレードを選択する費用は新築住宅と同程度です。
間取りの変更は、住まいを支える骨組みに影響が出ます。強度を保ちつつ、骨組みを変更させるには大がかりな工事となり費用も多額です。
また、水回りの移動は設備配管の移動も費用になり、場合によっては動かせないこともあるでしょう。
間取りの変更や水回りの移動は最小限に留めておくことが、リノベーション費用を抑えるポイントです。
まとめ
今回は戸建リノベのメリットと注意点についてお伝えしました。
戸建住宅のリノベーションの大きなメリットは住宅購入コストの削減です。必要な部分だけの工事が可能である、短期間で工事が済む、すぐに転居が可能といったメリットがあります。
住まい方のひとつとして、ライフスタイルに合わせた戸建てリノベーションを検討してみてはいかがでしょうか?
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